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サトウキビ農家が製糖工場を襲撃=事件から読む中国社会

2010年3月30日、雲南省文山チワン族ミャオ族自治州広南県で、サトウキビ農家が製糖工場を襲撃する事件が起きた。なんとも「中国らしい」というか、面白い事件なので紹介したい。複数のメディアが報じているが、2日付聯合早報を参照した。

29日夜、広南県のサトウキビ農家4軒はトラックにサトウキビを積み、ひそかに広西チワン族自治区へと向かった。その途中のこと。トラックは冠桂糖業公司の従業員に行く手をさえぎられ、荷物を下ろされた。この騒ぎでトラック運転手は怪我を負ったという。

なぜこんな事件が起きたのか。ひそかにサトウキビを運ぼうとしていたサトウキビ農家は、現地の企業・冠桂糖業公司と毎年販売契約を交わしていた。ところが収穫期を迎えた今年1月のこと、砂糖価格は急上昇。貴州省、広西チワン族自治区から仲買人が来ては契約価格以上の高値で買い付けると話を持ちかけた。冠桂糖業公司は契約を順守するよう求めたが、約束を破る農家も出ている。

30日、300人を超える農民たちが冠桂糖業公司の前に集まった。トラック運転手を負傷させた犯人を引き渡すこと、サトウキビの買い付け価格を引き上げること、すでに売り渡したサトウキビの支払いをただちに行うことを会社に要求した。丁々発止の交渉を重ねるうちに農民は激発。会社の扉、宿直室の窓とパソコン、車を打ち壊した。なお負傷者は出ていない。

以上が事件の概要。続報は確認できていない(7日未明)。

さて、私が「中国らしい」と感じたのは、農民の生き馬の目を抜く抜け目なさだ。長期契約を結んで価格低下リスクを回避しておきながら、いざ市場が高騰したと思えば高値の売却を試みる。さらにそれが失敗しても、謝るどころか、逆にトラック運転手の負傷をカードに買い取り価格を引き上げさせようとする始末(ちなみに運転手は現地農民ではなく、広西チワン族自治区から雇ったドライバーであった。ちなみに負傷を交渉カードにするのは、いわゆる「冤枉」(不当な扱いを受けること)という中国人の発想をベースにしていて大変興味深い)。

ところで日本では野菜や果物が豊作のため生産調整が行われることがあるが、中国ではとんと聞いたことがない。白菜やスイカなど旬の時期が集中する作物はもうただと変わらないような値段にまで下落していることもある。思うに中国で生産調整を行おうにも、絶対に抜け駆けする人が現れるため、実行できないのではなかろうか。

では、中国社会があらゆる他者を信頼せずなんとか抜け駆けできないかとみなが血眼になっている社会かというと、そうでもない。なかなか信頼できないだけに、逆に確かに信頼できる相手は大変貴重になる。そういった相手をどうにか作ろうと、宗族や義兄弟、同郷会、秘密結社などの枠組を作ってきたのが中国の歴史だったと言える。


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