借金まみれという「賢い戦略」=高成長の国と「失われた十年」の国の温度差
本日付レコードチャイナの記事「負債率51%!計画性ないローンとカード消費の罠―湖北省武漢市」ですが、どうもツッコミいれたくて仕方がなくなったので、ちょろっと書きます。元の中国語記事はこちら。
「武漢市全体で未返済の個人消費ローン総額が692億元(約9666億円)に上り、同市の定住人口を仮に800万人と計算しても、市民1人あたり負債額が 8650元(約12万830円)になることがわかった。08年の武漢市民の平均可処分所得額1万7000元(約23万74630円)から単純計算すると、武漢市民の平均負債率は51%に達する」とのこと。
692億元の内訳は書いてありませんが、ほとんどは住宅ローンでしょう。不動産ローン地獄な人(中国語で房奴)がどかっと借金を抱えているわけで、市内人口で割っても実態を誤認させるだけではないか、と。
またセールス嬢にのせられてマンションを衝動買いしてしまった姚さんの話が載っていますが、「のせられた」というのはいかがなものか、と。結局米国のサブプライムローンと一緒で、マンション価格が右肩あがりするという前提ならば月収が追いついていようがなかろうが、一刻もはやくマンションを買うのは合理的な選択。ぐずぐずしていればマンション価格は上がってしまいますし、先に買えばマンションの値上がり分を担保に再び借金することも可能なわけですから。つまり、「大借金してでもともかくマンションを買おう」戦略はそれなりの合理性を持っていたわけで、いまさら「乗せられた」とか責任転嫁されてもとツッコミたくなります。
貯蓄率10%未満の「月光族」が全市民の33%もいるとの話ですが、これももう少し細かい分類が欲しいところ。マンション購入など投資に走って貯金がないのか、ボンボンで金を使い切っているのか、貯蓄するほど収入がないのか、さっぱりわからないです。
記事最後の学生クレジットカードは確かに危険な香りがします。自分が留学していた時には、中国の大学では日本同様、将来のエリートである学生を青田買いしようとする銀行が来襲、学内でクレジットカードの手続きがさくさくできるようになっていました。ところが今では大学を卒業してもどれほどの月収が得られるかはまったくの未知数で、名門大学を出ても月収1000元(約1万4000円)ちょいなんていうケースもざらにあるわけです。そうするとカードの与信と収入とが明らかに不釣り合いになるため、大変なことになるケースがでています。
というわけで、武漢晩報の記事はツッコミが足りなすぎなのですが、元の報告書はググっても見つかりませんでした。さすがにもう少し詳しく分析してあるのではと思うのですが。ネットにはアップしてないのかもしれません。
「失われた十年」「失われた十年おかわり」とデフレ圧力が強い時代を暮らしている日本人だと、こうしたインフレ圧力が高い暮らしを忘れているような気がします。バブル前だと結構一般市民も「財テクどうしようか、げへへ」と肉食モードだったように記憶しているのですが。

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投票よろしくお願いいたします。
「武漢市全体で未返済の個人消費ローン総額が692億元(約9666億円)に上り、同市の定住人口を仮に800万人と計算しても、市民1人あたり負債額が 8650元(約12万830円)になることがわかった。08年の武漢市民の平均可処分所得額1万7000元(約23万74630円)から単純計算すると、武漢市民の平均負債率は51%に達する」とのこと。
692億元の内訳は書いてありませんが、ほとんどは住宅ローンでしょう。不動産ローン地獄な人(中国語で房奴)がどかっと借金を抱えているわけで、市内人口で割っても実態を誤認させるだけではないか、と。
またセールス嬢にのせられてマンションを衝動買いしてしまった姚さんの話が載っていますが、「のせられた」というのはいかがなものか、と。結局米国のサブプライムローンと一緒で、マンション価格が右肩あがりするという前提ならば月収が追いついていようがなかろうが、一刻もはやくマンションを買うのは合理的な選択。ぐずぐずしていればマンション価格は上がってしまいますし、先に買えばマンションの値上がり分を担保に再び借金することも可能なわけですから。つまり、「大借金してでもともかくマンションを買おう」戦略はそれなりの合理性を持っていたわけで、いまさら「乗せられた」とか責任転嫁されてもとツッコミたくなります。
貯蓄率10%未満の「月光族」が全市民の33%もいるとの話ですが、これももう少し細かい分類が欲しいところ。マンション購入など投資に走って貯金がないのか、ボンボンで金を使い切っているのか、貯蓄するほど収入がないのか、さっぱりわからないです。
記事最後の学生クレジットカードは確かに危険な香りがします。自分が留学していた時には、中国の大学では日本同様、将来のエリートである学生を青田買いしようとする銀行が来襲、学内でクレジットカードの手続きがさくさくできるようになっていました。ところが今では大学を卒業してもどれほどの月収が得られるかはまったくの未知数で、名門大学を出ても月収1000元(約1万4000円)ちょいなんていうケースもざらにあるわけです。そうするとカードの与信と収入とが明らかに不釣り合いになるため、大変なことになるケースがでています。
というわけで、武漢晩報の記事はツッコミが足りなすぎなのですが、元の報告書はググっても見つかりませんでした。さすがにもう少し詳しく分析してあるのではと思うのですが。ネットにはアップしてないのかもしれません。
「失われた十年」「失われた十年おかわり」とデフレ圧力が強い時代を暮らしている日本人だと、こうしたインフレ圧力が高い暮らしを忘れているような気がします。バブル前だと結構一般市民も「財テクどうしようか、げへへ」と肉食モードだったように記憶しているのですが。


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