<まとめ>中国のネット行政に何が起きているのか?検閲ソフト導入にグーグル封鎖、6月の大混乱
「いったい中国のネット行政に何が起きているのか?」
最近中国情報をウォッチしていての偽らざる心境です。立て続けにいろんなことが起きすぎて、頭がかなり混乱中。もう訳がわかりません。
というわけで、今年6月に起きた中国ネット問題のまとめをしたいと思います。
・2009年の位置づけ
昨年は北京五輪というビッグイベントがありましたが、2009年という「節目」の重要性はそれ以上の意味を持つと言われています。すなわちチベット蜂起50周年、天安門事件20周年、建国60周年という記念日を一挙に迎えるためです。
ところが3月のチベット蜂起、5月の天安門事件と2つのイベントは大きな混乱がなくスルー(天安門事件前後には複数のウェブサービスが突如、「謎のメンテナンス」に入るという事件はありましたが)。残るは10月の建国60周年と思っていた矢先の6月にいろいろなことが起きます。
・フィルタリングソフトのインストール義務化
本ブログでしつこくお伝えしている「検閲ソフト義務化問題」。速攻で国内外から批判を浴びます。米ミシガン大学は同ソフトのソースコードを解析、ソースコードが一部盗用されたものであり脆弱性があることやアダルト以外に政治問題に関するNGワードが含まれていることを解明しました。また米国では世界貿易機関(WTO)に提訴する動きもあるようです。まあ確かに日本政府が「ネットの安全を守るためにアンチウイルスソフトを国が一括購入、国民に無料配布」とか発表して一社の独占を許したとすれば大問題になるでしょう。やっていることはあまり変わりません。
中国国内でも批判が爆発。なかでも注目されているのが検閲ソフト購入に支払われた4000万元(約5億6000万円)超の費用が適切であったか、という点。6月24日、財政部は北京の劉暁原弁護士の情報公開申請に答え、「検閲ソフト購入費用には財政部はかかわっていない」と回答、注目を集めています(24日付財経網)。工業情報化部が費用を負担したようですが、正しい入札は行われておらず、癒着ではないかとの疑惑が浮上しています。また検閲ソフトの性能の低さも話題に。どうやら肌色の比率が高いとポルノ画像と判断するらしく、毛沢東の肖像画がブロックされたという笑える話も(23日付東京新聞)。
・グーグルバッシング
本ブログ23日付エントリーでお伝えしましたが、グーグルへのバッシングが続いています。概略は「18日、中国インターネット違法・不良情報通報センターはグーグル中国がアダルトサイト、低俗サイトのフィルタリングを十分に実施していないと譴責、海外ウェブサイトの検索、グーグルサジェスト(入力されたキーワードに対応して関連キーワード、絞り込みキーワードを提示する機能)の一定期間停止を命じた」(レコードチャイナの記事)というもの。
「グーグルがアダルトサイトにリンクを貼っている」と一部の中国メディアは大々的にバッシングを開始。中国中央電視台(CCTV)は人気番組「焦点訪談」でグーグルの批判報道を放映しましたが、インタビューに登場し、「同級生はグーグルでアダルトサイトを見て、勉強に手が着かなくなった」と語った大学生・高也くんがCCTVの実習生であると発覚、やらせだとして炎上しました(20日付レコードチャイナ)。高也くんはまたご丁寧に自分のブログで「CCTVの実習生やるよー」とか電話番号とか彼女とかに関する情報を掲載していたので、大変な騒ぎとなりました。
ちょっと気になるのが26日付聯合早報の記事。「あるブログがグーグルトレンド及び第三者機関のデータを元に述べているところによると、CCTVがグーグルの批判報道を行う7日前からアダルト関連の検索量が前週比で5950%増と急増していたという。先月比では検索量は数千倍に達している。これらの検索はすべて北京からのものだった」という内容。
そして24日夜、中国からgoogle.com、google.co.jpにつながらないという障害が発生(25日付サーチナ)。検索ばかりか、GmailやGoogleReaderなど関連サービスまで使えなくなるという惨状になりました。わたしも中国の取引先に重要なメールを送っていたのでどきどきものでしたが、翌25日には回復したようです。ちなみにCHINA-Webbyによると、DNSハイジャックという手法で妨害が実施されたそうです。
・なぜ今、この時期に管理を強化?
湖北省石首市の暴動や08憲章の劉暁波氏逮捕といった大きな動きもありましたが、天安門事件の記念日を過ぎた6月にこれだけの「やる気」を見せられると、どうしても「なんで今なの?」と気になって仕方ありません。前々から進めていた計画を実施しただけなのか、それともネット管理強化を計らねばならない事情があるのか、誰か腑に落ちる説明をしてくれないかなと他力本願で待っています。

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投票よろしくお願いいたします。
最近中国情報をウォッチしていての偽らざる心境です。立て続けにいろんなことが起きすぎて、頭がかなり混乱中。もう訳がわかりません。
というわけで、今年6月に起きた中国ネット問題のまとめをしたいと思います。
・2009年の位置づけ
昨年は北京五輪というビッグイベントがありましたが、2009年という「節目」の重要性はそれ以上の意味を持つと言われています。すなわちチベット蜂起50周年、天安門事件20周年、建国60周年という記念日を一挙に迎えるためです。
ところが3月のチベット蜂起、5月の天安門事件と2つのイベントは大きな混乱がなくスルー(天安門事件前後には複数のウェブサービスが突如、「謎のメンテナンス」に入るという事件はありましたが)。残るは10月の建国60周年と思っていた矢先の6月にいろいろなことが起きます。
・フィルタリングソフトのインストール義務化
本ブログでしつこくお伝えしている「検閲ソフト義務化問題」。速攻で国内外から批判を浴びます。米ミシガン大学は同ソフトのソースコードを解析、ソースコードが一部盗用されたものであり脆弱性があることやアダルト以外に政治問題に関するNGワードが含まれていることを解明しました。また米国では世界貿易機関(WTO)に提訴する動きもあるようです。まあ確かに日本政府が「ネットの安全を守るためにアンチウイルスソフトを国が一括購入、国民に無料配布」とか発表して一社の独占を許したとすれば大問題になるでしょう。やっていることはあまり変わりません。
中国国内でも批判が爆発。なかでも注目されているのが検閲ソフト購入に支払われた4000万元(約5億6000万円)超の費用が適切であったか、という点。6月24日、財政部は北京の劉暁原弁護士の情報公開申請に答え、「検閲ソフト購入費用には財政部はかかわっていない」と回答、注目を集めています(24日付財経網)。工業情報化部が費用を負担したようですが、正しい入札は行われておらず、癒着ではないかとの疑惑が浮上しています。また検閲ソフトの性能の低さも話題に。どうやら肌色の比率が高いとポルノ画像と判断するらしく、毛沢東の肖像画がブロックされたという笑える話も(23日付東京新聞)。
・グーグルバッシング
本ブログ23日付エントリーでお伝えしましたが、グーグルへのバッシングが続いています。概略は「18日、中国インターネット違法・不良情報通報センターはグーグル中国がアダルトサイト、低俗サイトのフィルタリングを十分に実施していないと譴責、海外ウェブサイトの検索、グーグルサジェスト(入力されたキーワードに対応して関連キーワード、絞り込みキーワードを提示する機能)の一定期間停止を命じた」(レコードチャイナの記事)というもの。
「グーグルがアダルトサイトにリンクを貼っている」と一部の中国メディアは大々的にバッシングを開始。中国中央電視台(CCTV)は人気番組「焦点訪談」でグーグルの批判報道を放映しましたが、インタビューに登場し、「同級生はグーグルでアダルトサイトを見て、勉強に手が着かなくなった」と語った大学生・高也くんがCCTVの実習生であると発覚、やらせだとして炎上しました(20日付レコードチャイナ)。高也くんはまたご丁寧に自分のブログで「CCTVの実習生やるよー」とか電話番号とか彼女とかに関する情報を掲載していたので、大変な騒ぎとなりました。
ちょっと気になるのが26日付聯合早報の記事。「あるブログがグーグルトレンド及び第三者機関のデータを元に述べているところによると、CCTVがグーグルの批判報道を行う7日前からアダルト関連の検索量が前週比で5950%増と急増していたという。先月比では検索量は数千倍に達している。これらの検索はすべて北京からのものだった」という内容。
そして24日夜、中国からgoogle.com、google.co.jpにつながらないという障害が発生(25日付サーチナ)。検索ばかりか、GmailやGoogleReaderなど関連サービスまで使えなくなるという惨状になりました。わたしも中国の取引先に重要なメールを送っていたのでどきどきものでしたが、翌25日には回復したようです。ちなみにCHINA-Webbyによると、DNSハイジャックという手法で妨害が実施されたそうです。
・なぜ今、この時期に管理を強化?
湖北省石首市の暴動や08憲章の劉暁波氏逮捕といった大きな動きもありましたが、天安門事件の記念日を過ぎた6月にこれだけの「やる気」を見せられると、どうしても「なんで今なの?」と気になって仕方ありません。前々から進めていた計画を実施しただけなのか、それともネット管理強化を計らねばならない事情があるのか、誰か腑に落ちる説明をしてくれないかなと他力本願で待っています。


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